私が相撲に関心を抱いたのは小学生の頃で、当時小結であった魁皇関が初優勝した場所をテレビで観て感動した記憶が鮮明にある。しかし、相撲は体格に恵まれた人のスポーツという先入観を持っており、相撲をする入口に出会うことも無く、まさか自分が相撲に挑戦するとは考えもしなかった。上記のように相撲と直接関わることのなかった私ではあったが、大学で塾相撲部と出会い、入部を決意した。入部当初は60キロにも満たない体重であり、正直何かとハンデは存在した。しかし、体重別選手権で実績を残すという明確な目標を持つことによって、日々の稽古は大変充実したものになった。
また、他のスポーツと比べて部員の数が少ないことからOBも含めて人間関係が非常に密であり、皆が家族のような存在であった。先輩方の熱心なご指導の下私は東日本体重別選手権準優勝、全国ベスト8という成果を残すことができたが、学業面でも就職活動をはじめ何かと面倒を見て頂き、相撲部での活動を通じて多くの財産を得ることが出来た。塾相撲部を引退し、現在私はJRAで働いている。入社から半年が経ち、未だ社会人として未熟な部分もあるが、塾相撲部時代に年の離れた先輩と話し合いを重ねてきた経験が現在でも活かされている。幾度なく自分の可能性を試される機会があり困難なことも多くあるが、そのような時にこそあの時準優勝した自分に恥じないよう懸命に取り組もうと心がけている。
私は相撲部員として充実した毎日を送り、主将としても部の運営をやり遂げたことで、人生に一度の学生生活に思い残すことは何もなく、今後社会人として働いていく上でも大きな自信を得ることができた。塾相撲部には素晴らしいOBの方々から多くのことを吸収し、肉体的にも人間的にも成長できる環境がある。トーナメントで一発勝負という難しさもあり、自身が優勝することは最後まで出来なかったが、近い将来後輩たちが私の夢を実現すると信じている。