<全国学生>価値ある勝利と敗戦と。ほろ苦「最高順位」
(後列左より)
前田監督、嶋西主将、西森、前田賢、伊藤、村井、若穂囲、長山、佐藤俊(OB)
(前列左より)
力石、岡本、柳主務、松石、中西、栗田
全国学生相撲選手権は、11月4日、5日、両国国技館で開催され、本塾相撲部は、Bクラス戦1回戦で、
関西学院大に勝利。BCDクラスがトーナメント制になって以来、初めて2回戦に進出する、この制度
での過去最高成績で、1年間の戦いを締めくくった。しかし、頼みの主将・嶋西の負傷もあり、Cクラス
戦では、決勝で敗退して準優勝に終わり、準決勝でも薄氷の勝利となる大苦戦を強いられるなど、まだ
Cクラスで抜け出た力がないことを実感させられるほろ苦い勝利となった。
全国学生選手権は、その年の東日本、西日本の各選手権での成績と、前年度の本大会での成績を基準
として、ランク付けがなされる。東日本Cクラス戦を制し、事実上の入替戦であるBクラス1回戦も圧勝し、
同大会でのBクラス復帰を決めた本塾であるが、この大会では、Cクラスからの出場となった。東日本が
3部制であるのに対し、チーム数の少ない西日本は2部制であるため、全国にした場合、それぞれの管轄での
ランク分けをそのまま適用することができないことも影響している。かつては、東日本のBクラス校は、
全国大会でも必ずBクラスまたはAクラスにランクされていたが、この数年の西日本にいくつかの新興実力
チームが台頭してきたため、下位のチームは、Cにランクされることがでてきた。そのため、東日本で
Bクラスで準々決勝敗退の4チームでも、青森大、国士舘大はBクラスでも、防衛大と前年度の本大会で
Cクラス8強止まりだった本塾は、Cクラススタートということになった。
変則的なトーナメントのため、Cクラス第1シードの本塾は、準々決勝が緒戦となり、3回戦を勝ち
あがってきた立教大学と対戦した。この試合、ニ陣を落としたものの、4-1で勝利。6月の東日本、9月の
リーグ戦に続き本年度3度目の対戦も、過去2回と同様に1失点はしたものの、まずは危なげなく勝利した。
しかし、試合前から懸念された事態が、ここで現実化してしまう。主将・嶋西は、大会前から足の付け根を
痛めていた。なんとかごまかして出場したものの、痛めている右足に踏ん張りが利かず、相手選手の来ると
わかっている足取りにも、対処することが出来なかった。
続く、準決勝は名古屋大戦。副将柳が、内容的には負けている相撲をなんとか粘って白星にしたが、ニ陣と
大将を落とし、結果的には3-2の辛勝。1点差というより、内容的には、ほとんど差のない、薄氷の勝利であった。
痛みをこらえて出場した嶋西であるが、足が動かず、ばったり前に落ちる、普段では考えられない内容で敗れた。
足を引きずりながら、それでも闘志を見せて戦ってきたが、動きが身上の男がこれでは、本来の相撲が全く
取れないことは、もはや明らかであった。誰よりも真剣に戦い、勝利を真摯に追及し、チームに戦う意識を
吹き込んで引っ張ってきた主将であるが、これ以上、無理をさせることはできず、やむなく交代という苦汁の
決断を下さざるをえなくなった。
決勝の防衛大学校との対戦。先鋒・村井が最高の相撲で先鞭をつけたものの、急遽出場した松石に続き、
ポイントゲッター伊藤も相手主力選手にうまさ負け。副将・柳が競り負けた時点で、敗退が決定してしまった。
この大会は、B、C、Dクラスで4強に入ったチームが、そのまま上位のクラス1回戦に組みいれられる
(Aクラスはトーナメントではなく、3回戦総当り制)。Cクラス2位の本塾も、翌日のBクラス1回戦に進出
することとなったが、抽選の結果、関西学院と対戦することとなった。
相手チームも先鋒には、新人とはいえ、力のあるエースを配しているが、こちらも先鋒は大黒柱村井である。
村井は、この大事な先鋒戦で、落ち着いた見事な相撲で勝利。これで、有利に進められるようになった本塾は、
中堅・伊藤、大将・前田賢が力を出し切って勝利をつかみ、3-2の勝利。この大会が下位クラスをトーナメント
にして以来、Bクラス戦で初めての勝利を挙げることとなった。続く2回戦は、龍谷大戦。村井は、当たり負けせず、
両前褌をつかむ絶好の形となったが、両足がそろった一瞬に引き落としを食い、敗戦。ここでほぼ勝負あり、
結局、この1戦は、0-5と力の差を見せ付けられる結果となった。
東日本では、永年の宿願であるCクラス優勝に加え、Bクラス1回戦では5-0の完封勝ち。7人戦のリーグ戦でも、
昨年からひとつ順位を上げる6位と、順調に成績を残してきた。しかし、Cクラス決勝では、主将・嶋西を欠いた
誤算はあるものの、弾みや取りこぼしで負けたという内容ではなく、3つとも実力を出して負けていたことは認めざる
を得ない。関西学院を倒し、2回戦に進んだことからも、Bクラスで戦う力がついてきたことはたしかだが、辛勝の
準決勝と併せ、まだCクラスを抜け出す力がついているわけではないことを、はっきりと認識させてくれる敗戦で
あった。
しかし、昨年は、リーグ戦こそ二部を死守したものの、東日本、全国ともCクラスを抜け出して、Bクラス戦に
進出することさえ出来なかったことを思えば、今年の成績は、はっきりと進歩している。チーム力は格段に向上し、
目標とする真にBクラスで戦えるチームへの1歩を示せた1年ではあった。来年度が、大事な勝負の年である。